賦形剤の選定方法

錠剤やハードカプセルの商品を作る場合、必ず、流動助剤、結着剤や滑沢剤(剥離剤)として、賦形剤を配合する必要があります。
そして、この賦形剤の選定は、各製剤工場でノウハウがあります。

本ページでは、大まかな賦形剤の使い方や選び方を説明いたします。

流動助剤・結着剤

まず、錠剤でもハードカプセルでも、流動助剤を入れないと、なかなか製剤化することは難しいです。
弊社の場合、ハードカプセルでは、主に酵母、錠剤では、主に還元麦芽糖水飴を用いております。各社で使用する素材は異なるのですが、一般的に。以下のような素材が用いられます。

【ハードカプセル】 デキストリン、澱粉(コーンスターチ)、酵母、食用油脂粉末など
【錠剤】 還元麦芽糖水飴、乳糖、デキストリン、結晶セルロースなど



ハードカプセルの場合、充填機の種類によっても、賦形剤の必要量が変わってきます。
例えば、半自動機であれば、内容物に対して10%前後(好ましくは15%前後)の賦形剤で製剤化が可能ですが、特に高速自動機だと更に流動性が求められるため、その他の素材(例:フェルラ酸など)の流動性が悪い場合、最大30%前後の賦形剤配合が求められます。

なお、どうしても流動性が確保できない場合、流動性を高めつつ、圧縮して嵩比重を高める乾式造粒などを施すことも極稀にございます。

次に、錠剤の場合、直打錠と造粒打錠の製剤化方法によって、必要な賦形剤量が異なってきます。
直打錠は、50%以上の賦形剤が必要になり、造粒打錠は、通常、30%前後の賦形剤が必要になります。これら賦形剤必要量は、その他原料の流動性や微粒二酸化ケイ素の使用有無、製剤化工場の技術によっても、大きく変わってきます。

そして、錠剤の賦形剤の流動助剤(基材)には、流動性を保ちつつ結着して固まりやすい特性が求められ、主に還元麦芽糖水飴(シュガーレス素材)、乳糖、ブドウ糖、デキストリンなど糖類が用いられます。そして、これらの選定は、様々な理由(アレルゲン、原産国表示、トップにくる原材料など)で使い分けられます。特に、原産国表示制度が始まって以降、選択される流動助剤も変化してきています。
この流動助剤の選定は、ケースバイケースであるため、弊社の営業マンは、お客様のニーズに応じてご提案させていただいております。

なお、原料によっては、固まりにくい素材も存在します。その場合、結着性を持たせるため、微粒二酸化ケイ素を用いる場合もございます。

滑沢剤(剥離剤)

錠剤の場合、滑沢剤として、ステアリン酸カルシウム、ショ糖エステルやナタネ硬化油など粉末油脂が使用されます。滑沢剤を用いないと、固めて製剤化できても打錠機の杵から離れず、製造を行うことができません。そのため、杵から錠剤を剥離させるため、滑沢剤が用いられるのです。
なお、微粒二酸化ケイ素は、剥離性も高めるため、流動性を高める目的と2つの目的で使用されています。

滑沢剤も、お客様の嗜好によって、選択される素材が異なってきます。
例えば、添加物の使用を極力減らしたいお客様は、添加物区分ではないナタネ硬化油を選択されることが多いです。一方、滑沢剤としての力価は低いため、滑沢剤の配合量は増えてしまいます。

ハードカプセルでも、流動性を高める必要性が生じた時、滑沢剤を利用することもございます。

留意点

この賦形剤の配合必要量や選択できる賦形剤の種類は、各工場によって大きく異なります。

上記の説目に関しては、弊社目線で説明されております。そのため、他社で製造する場合、必ずしも参考になるとは限りません。何卒ご理解くださいませ。

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記事筆者

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO
SloIron Inc. 取締役(Stockholder)、順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。…もっと詳しく