未承認医薬品の販売とリスク

クリニックでは、付随業務としてサプリメントなどの販売が明確に可能となり、サプリメント販売を行われるクリニックが増えております。
詳細は、下記ページを参照。

クリニック向けサプリ製造の注意点

そこで、質問されるのが、未承認医薬品とサプリメントの販売との違いについてです。
※未承認医薬品/未承認薬とは、海外で承認されていながら、日本では承認されていない薬を指します。

まず、未承認医薬品とサプリメントの大きな違いは、サプリメントは、食品区分の商品ですが、未承認医薬品は、医薬品区分の商品に該当する点です。関連法規も変わってきます。

各国では、食薬区分が異なっており、例えば、一部のビタミンは、日本ではサプリメントと医薬品の両方に存在し、米国ではサプリメントだけに存在、ヨーロッパでは医薬品だけに存在するというものも多く存在します。
仮に、ヨーロッパで医薬品であっても、日本では、サプリメントと変わらない商品の存在します。

ちなみに、パントガールは、日本ではサプリメント(食品)に利用できない成分であるパラアミノ安息香酸が含まれております。このパラアミノ安息香酸は、米国では、サプリメントに利用可能です。

そして、そういった未承認医薬品は、医師が個人輸入し、医師の処方の下に患者へ提供されるケースが多いです。
※個人輸入をサポートする代行業者も存在。

この未承認医薬品は、「患者の治療目的」「研究目的」「自己使用目的」の3つに限定されており、それ以外の目的で使用すると薬機法違反となります。
例えば、個人輸入をした医薬品を第三者へ販売したり、譲渡したりする行為は、薬機法違反になります。当然ながら、通信販売での販売は薬機法違反になります。

また、未承認医薬品に対して「当該医薬品が国内未承認であり、品質、有効性、安全性が確認されたものではないことを患者に説明」することが厚生労働省から周知されています。
副作用が起こった場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外であり、患者に説明がなされていなければ、トラブルが生じる可能性があるでしょう。

一方、サプリメントは、謳える機能性が食品の範疇から超えてはならず、必ずしも商品や成分で十分なエビデンスがあるとは限りません。
また、自由に成分ならびに配合量を変えれる反面、相乗効果だけでなく、相互作用等の可能性も生じてきます。

ただし、通信販売や大規模な広告活動が可能などのメリットも存在します。
ちなみに、未承認医薬品からサプリメントに切り替えを検討される最も大きな理由は、収益性の違いです。多くのケースで、OEM製造されたサプリメントの収益性の方が高いようです。

サプリメントの場合、以下ページで紹介してるようなリスクがありますが、的確にリスクマネージメントを行えば、大きなトラブルが起こる可能性は非常に低いです。

健康食品サプリメントの販売リスクマネージメント

重要なのは、どのようにリスクマネージメントするかです。

未承認医薬品とサプリメントの販売には、異なるリスクが存在します。
それぞれのリスクを総合的に判断して、展開されるビジネス形態を選択されるべきなのでしょう。

なお、パントガール類似品のニーズが高い理由は、先述のパラアミノ安息香酸以外、ほとんどがサプリメントでも使用できる成分であるためでしょう。
また、グルタチオンのような医薬品とサプリメントの原料の違いが非常に少ないためでしょう。

参考:
くすりの情報Q&A(製薬協) Q52.製薬産業は「未承認薬(みしょうにんやく)」に、どのように取り組んでいますか。
国内未承認の医薬品を使用する場合は十分ご注意下さい(徳島県

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