中小企業PL保険制度と責任の所在

弊社のお客様の多くは、中小企業であり、初めてサプリメントの製造・販売を行われるお客様も半数以上を占めています。

そして、多くのお客様から販売におけるリスクマネージメントについて、ご相談いただくことが多いです。昨今、紅麹問題もあり、ご相談されることが増えております。

基本的には、リスクマネージメントとしてPL保険(生産物賠償責任保険)をご紹介させていただくのですが、以下の点を細かくご説明させていただいております。

ポイントは原因と責任の所在!

健康被害などのトラブルが起こった場合、必ず真っ先に原因究明のための調査が行われます。そして、その原因の内容によって、責任の所在が変わってきます。

まず、原因が製造サイドにあった場合、製造を請け負った会社が窓口になり、原因の責任がある会社に対して賠償を求めていくことになります。
例えば、原料に不純物が混入していたことが原因の場合、当然、原料メーカーである原材料の製造者もしくは輸入者が国内で責任を負うべき会社に該当いたします。ただし販売者は、消費者の窓口となりますので、製造サイドの責任の所在である会社から賠償が行われるまで、一時的な賠償負担(消費者への賠償金や製品回収コスト等)が生じるでしょう。
※逃げるだけで、一切、責任を負おうとしない会社も存在いたします。その場合、科学的証拠を示す必要性が生じてきます。

弊社のように、リコール特約まで付けたPL保険に加入していれば、原料メーカーも賠償による損害の一部を保険で補填できるでしょう。一方、賠償を負い切れず、倒産して賠償されないケースもございます。
※健康被害が生じていなくても、品質基準に満たない理由で販売者が製品回収される場合も含みます。

次に、原因が解明できなかったケース製造サイド以外での原因であるケース等も存在します。

原因がわからなかった場合、販売者と消費者との間で、賠償等の協議が必要になります。ケースバイケースの処理がなされるでしょう。

また、販売者が指定した商品設計(成分の組み合わせ、摂取用量、指定原料)や販売者が製造もしくは輸入された支給原料に問題がある場合もございます。その場合は、販売者の責任となります。
商品設計が原因となり、健康被害等が生じるケースは、極めて稀なケースでしょう。一方、海外産の支給原料に問題があるケースは、あり得ない話ではございません。そのため、弊社では、原料を支給される場合、一定の条件を設けさせていただいております。

支給原料について(FAQ)

※原則、健康被害が起こり得る商品設計は、製造サイドが注意喚起して、案件辞退や設計変更が行われるのが一般的です。弊社では、無理を通して製造されるお客様には、責任を製造サイドに問わない覚書を提出いただいております。

なお、消費者サイドに原因があった場合もございます。一方、原因が消費者にあっても、損害がゼロになるとは限りません。例えば、過去にあった珍しい事例として、1日で1商品を飲み続けて健康被害が起こった場合、注意喚起がされていても注意喚起が不十分であったという理由で販売者が消費者に賠償金を支払った事例もございます。そういった場合は、販売者がPL保険を利用して処理することが可能でしょう。

PL保険に関しては、中小企業のお客様の場合、以下のようなPL保険に加入されることが一般的です。

中小企業PL保険制度(商工会議所)

保険料は、売上と比例しますので、事業開始時の保険料は、10万円未満であることがほとんどです。

最後に、上記のような健康被害(製造物責任が問われる事件)が起こり得る可能性は、極めて低いです。弊社でも、経験がございません。こういったPL保険による備えも、想定外のトラブルに備えるためものです。
一方、PL保険への加入は、企業のリスクマネージメントとして必要なことです。ビジネスが大きくなるにつれて、必要度が増してきます。リコール特約まで付けられることも少なくありません。

原則、上場企業は、コンプライアンス上、必ずPL保険(リコール特約付き)に加入されています。

中小企業の販売者の場合、このPL保険への加入は、お客様の任意ですが、弊社では、加入をオススメしております。

なお、弊社では、PL保険の仲介等は行っておりません。また、責任と賠償に関しては、あくまで一般論であり、弁護士を入れて協議された上で対応が行われます。科学的証拠が示されなけば、各社が責任を認めないケースもございます。必ずしも、上記のようなケースで賠償が行われる訳ではないので、ご注意ください。

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