販売リスクマネージメント

健康食品サプリメントの販売は、原則、食品の販売区分であり、認可/免許や資格がなくても販売事業を展開できる販売ビジネスです。

FAQ: 免許や資格は必要ですか?

どんなビジネスでもリスクが存在するように、この販売事業でも、いくつものリスクが存在します。

したがって、健康食品サプリメント販売には、以下のようなリスクのマネージメントを行う必要が生じてくるのです。

1. 健康被害クレームリスク
2. 商品回収(リコール)リスク
3. 欠品リスク
4. 広告費回収リスク(主に通販)
5. 行政指導リスク

1. 健康被害クレームリスク

通常、健康被害が起こることは、ほぼありません。
特に、弊社は、原料レベルから商品設計のチェックを行っているため、健康被害が生じる可能性ある商品設計を提案することはございません。

実際、日本国内で健康被害を起こしている商品の多くは、海外で製造された商品です。
主に、日本人に適していない高容量の商品だったり、日本では食品ではなく医薬品であるような商品です。
一部の商品(主にダイエット商品や滋養強壮商品)では、医薬品成分が検出され、商品回収騒動に発展しています。
弊社における製造では、基本、起こることはございません。弊社では、

一方、体質的に合わなくて不調を訴えるクレームや健康被害を装うクレームは、起こり得ます。

食べ合わせが悪かったり、摂取時の体調が悪かっただけであったり、商品の品質や設計とは、全く関係のない理由(主に利用の仕方)でクレームが届くこともございます。
例えば、卵や小麦など、普通に食されている食品でも、アレルギー症状を発症する可能性がありますので、どうしても体質的に合わず不調を訴える人も出てくるのです。
また、空腹時に多種類の商品を一度に利用して、胸焼け等を起こされるというケースもご合います。

稀に、商品の問題ではなく、お客様の利用方法の問題(例:過剰摂取や摂取するタイミング)である場合もあります。

過去、高容量の商品で、お客様名と共同でクレーム理由を調査したところ、12万個の商品販売で、体調変化を理由としたクレームは15件(返品を目的としたものを含む)でした。そのほとんどが空腹時の摂取による胸焼けであり、食中・食後の摂取を促す対応オペレーションで解決できております。

また、特にアフィリエイト広告を用いた販売では、返品目的で、健康被害を装うクレームも多く発生することがございます。捏造された診断書が添付されるケースもございます。

こういったクレームに対する対応マニュアルは、しっかりと作成しておく必要がございます。
通販企業にとって、この対応マニュアルやその作成スキルこそがノウハウです。あらゆるトラブルに対応できるようなものを作成しておく必要があります。

2. 商品回収(リコール)リスク

弊社でも経験はございませんが、もしものケースです。
1で紹介したような商品設計上の問題に限らず、原料や製造管理体制など製造側の問題でトラブルが起こり得るリスクも存在します。
最悪なケースとして、商品回収(リコール)まで発展してしまうことがあります。

過去、日本では、放射線殺菌された大麦若葉末を使用した商品で商品回収が行われております。また、海外では、原料の精製工程にミスがあり、健康被害による大規模商品回収が行われています。

製造側の問題でトラブルが起こった場合、まず、原因解明の調査を行い、責任の所在を明確にいたします。そして、商品回収にかかったコストや消費者への損害賠償コストなどを精算することになります。
通常、ほとんどの原料メーカーや製造工場は、リコール特約のあるPL保険(生産物賠償責任保険)に加入しておりますので、このPL保険を用いることが一般的です。

商品設計が問題だったケース(製造側の責任ではないケース)や責任の所在である会社が倒産したケース(回収にかかったコストを回収できないケース)など、販売者がコスト的な負担を負ってしまう可能性は、ゼロではございません。
そういった場合に備えて、販売者様でもPL保険(可能であればリコール特約付き)に加入されることをオススメしております。保険料は、売上に応じて変化しますが、数万円程度の保険料から加入することが可能です。

また、試作品を用いて、1ヶ月以上の社内モニターテストを行ったり、3倍量もしくは5倍量摂取の簡易安全性テストを行っても良いです。商品設計の安全性が簡易的に確認できます。

3. 欠品リスク

欠品リスクは、高い頻度で起こりえるリスクです。

想像以上に売れた場合に限らず、製造状況が非常に混みあっていて納品が間に合わないというケースでも起こり得ます。
その他、一部の原材料の欠品や包装資材不足の発覚など、様々なケースがございます。2021年には、供給会社の不祥事によりハードカプセルの長期的な品薄状態というものも起こっております。

特に、健康食品サプリメントの製造は、10~12月に集中する傾向があり、この最繁忙期に発注をかける場合、かなり余裕のあるスケジュールを組んでおく必要があります。

何れにしても、綿密な製造計画は不可欠です。以下のページの内容をご活用くださいませ。

次回以降の製造計画

意外に、次回以降の製造を計画されていない会社様が多いのが実際です。特に、定期購入コースへ積極的に誘導されている販売者様は、欠品がコース離脱に繋がりやすいため、綿密な製造計画が必要です。

4. 広告費回収リスク

比較的リピート発注率が高い弊社でも、通販での販売を予定している約7~8割の顧客は、事業撤退や終売等により1回の発注で終わってしまいます。

通販事業は、年々厳しい時代となりつつあります。
そこで、弊社では、少しでも商品開発の面から本リスクを減らそうと努力しておりますが、限界がございます。

失敗しないサプリメントの作り方

特に、広告型の通販は、広告費の先行投資型ビジネスであり、多額の広告予算(商品仕入れコストの4~10倍)を投じる必要があり、その分、リスクも大きいです。
その必要予算も、かなり上がっており、広告費を回収できるような広告ノウハウ・クリエイティブ制作ノウハウ・リピート戦略ノウハウなどが求められます。

もし、情景のようなノウハウがない場合、広告型通販以外の販売方法を模索した方が良いでしょう。

また、モール型の通販も、多額な広告費の投資の必要性がないですが、その分、競争も激しく、中には別の安定販路(ドラックストアなど)での販売と並列して販売されている強い競合も存在するため、短期決戦が原則で、流動的に展開していく必要があります。
広告費回収リスクはなくても、健康食品サプリメントは賞味期限のある商品であるため、商品の不良在庫リスクが存在するのです。

行政指導リスク

2021年の薬機法改定以降、健康食品・サプリメントの広告規制が強化され、行政(消費者庁)からの指導を受ける会社さんが増えております。健康食品・サプリメントの場合、指導を受けている大部分が通販事業者です。
その広告規制強化は、今後、ますます厳しくなることが予想され、最悪なケース、課徴金制裁などを受けてしまいます。過去、1億円を超える課徴金制裁を受けた通販事業者も存在いたします。

現在、すでにAmazonでも規制が強化されており、有効性を謳っている栄養成分データを3年毎に要求するなどの動きが生じています。
また、今後、Yahooや楽天などでも、同様な規制強化が予定されているようです。

このリスクを回避するには、適正な広告表現を心がけるしかございません。ご注意くださいませ。


記事筆者

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO
SloIron Inc. 取締役(Stockholder)、順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。…もっと詳しく