保健機能食品の種類と特徴
健康食品サプリメントの商品開発を行うにあたり、まず、商品設計の前に、保健機能食品にするのか?しないのか? するなら、どの保健機能食品にするのか?を決める必要があります。
保健機能食品とその他の食品(非保健食品)の違いは、機能性を謳えるかどうかです。原則、保健機能食品以外は、機能性を謳うことができません。
近年、特に2021年8月の薬機法改定以降、薬機法や景品表示法の取り締まりが厳しくなり、広告規制も強化されています。非保健食品のグレーゾーンもかなり狭まっています。
機能性を謳える保健機能食品ですが、それぞれ以下のような状況や特徴がございます。
1-1. 特定保健用食品
他の保健機能食品との大きな違いは、消費者庁長官の許可を得ることにより、特定の保健の用途に適する旨を表示できるようになり、機能性を謳えるようになる食品です。消費者庁の認可制のため、非常にハードルが高く、中小企業が作る商品として現実味がないのが実際です。
1-2. 栄養機能食品
特定の栄養成分(主にビタミン・ミネラル)の機能を表示できる保健食品です。特定保健用食品や機能性表示食品のような申請の必要はなく、指定量の栄養素を含有させることで特定文言の機能性を謳うことが可能です。製造者と販売者主導で、製造・販売ができます。
ただし、関連法規に基づいた表記や管理が求められるため、栄養成分分析や加速試験などを実施する必要性が生じてきます。
弊社の経験上、鉄や葉酸、ビタミンB12などのように栄養機能表示で有効性を示しやすい栄養素と、そうではない栄養素がございます。
機能性表示を行ったからといって、必ずしも商品販売に大きく寄与されるとは限りませんので、ご注意くださいませ。
1-3. 機能性表示食品
2015年4月1日に開始された保健機能食品です。商品製造前に、消費者庁に申請して、受理される必要があります。
主に2通りの申請方法があり、どちらかの方法で申請する必要があります。
A. 最終製品でのヒト臨床試験データを利用した申請
B. システマティックレビュー(SR)を利用した申請
最終製品でのヒト臨床試験データを用いる場合、機能性を表示したい最終商品でヒト臨床試験(被験者:健常者、二重盲検法もしくはクロスオーバー法)を実施し、有効性を査読付き論文に投稿することで機能性表示が可能になります。
ヒト臨床試験のコスト目安は、1000~1500万円です。特定保健用食品と同様、大手企業向けの機能性表示食品です。
論文化にも時間を要しますので、ヒト臨床試験検討から最低2~3年の時間を要します。
なお、機能性の表現(届出表示)については、試験結果に準じた内容でしか受理されません。どのような結果であれ、あくまで食品としての機能性表示であり、医薬品に類似した表現はできません。
次に、システマティックレビュー(SR)を利用した申請ですが、主に原料メーカーが提供する機能性関与成分のSR情報を用いて申請を行います。現在、機能性表示食品の多くは、原料メーカーが提供する機能性関与成分のSR情報を用いられたものです。
試作、機能性関与成分の分析、加速試験の実施等が必要になりますので、それなりのコストがかかります。機能性関与成分によって分析コストが異なるのですが、商品コスト意外に15~25万円のコストを要するとお考えください。
また、申請して一回で受理されることは珍しく、商品開発を開始してから受理されるまで、平均8~12ヶ月の時間を要します。
なお、原料によって機能性の表現(届出表示)も異なるため、同じ機能性関与成分を用いたからといって、必ずしも同じ機能性表示ができる訳ではございません。ご注意ください。
保健機能食品の選び方
原則、特定保健用食品は、大企業向けであり、中小企業には不向きです。また、弊社には、認可申請を行うだけのノウハウがございません。
機能性表示食品は、ややハードルが高いですが、SRを利用した申請であれば、一部の機能性関与成分に関して商品供給可能です。ただし、上記のようにコストを要するため、原料メーカーのSRを用いた申請でも、それなりの商品数を販売していく必要があります。実際、2000個/年以上の商品製造を行っていかなければ、商品開発コストをなかなか回収できないでしょう。
なお、機能性表示食品に関して、試作や分析、SRならびに製造者側の申請書類手配などのサポートは弊社で行わせていただきますが、実際のオンライン申請は、お客様にお願いしております。
何卒ご理解くださいませ。
栄養機能食品は、申請などが不要なため、製造自体、簡単です。弊社でも、多数の実績がございます。ただし、特徴のない合成のビタミンやミネラル素材を用いても、原価率50%を超えるような大手企業の商品群との差別化ができず、販売面で優位に展開できないでしょう。ビタミン・ミネラルの素材にこだわるか、中心となる核素材の特徴をクリエイティブフックに据えた栄養機能食品に仕上げるのがオススメです。
商品は、販売方法にもよりますが、必ずしも保健機能食品でしか売れない訳ではありません。ただし、近年、先述の通り、薬機法や景品表示法の取り締まりが厳しくなり、広告展開しにく状況が生じております。慎重に商品設計や販売戦略(主にクリエイティブ面)を講じる必要がございます。