海外鉄サプリによる健康被害への見解
2024年12月25日に国民生活センターから以下のような海外事業者の鉄サプリメントによる健康被害が報告されています。本ページでは、弊社の見解を述べさせていただきます。
▶ 海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症(国民生活センター)
そして、報告されている事例は、以下の2事例です。
【事例1】鉄サプリメントにより一日54~108mgの鉄を約3年間摂取した結果、続発性鉄過剰症と診断された
【事例2】鉄サプリメントにより一日36mgの鉄を約11カ月摂取した結果、鉄過剰状態と肝機能障害が疑われた
まず、上記の通り、鉄の耐容上限量(男性が50mg、女性が40mg※国民生活センターの報告書にはミス等で未記載)に近い量で摂取が行われており、過剰症は起こって当然の量です。かつ、配合されている鉄は、米国で主に流通している吸収率が高いアミノ酸キレート鉄(日本では指定外添加物)である可能性が高く、過剰症を起こしやすい鉄であった可能性も高いです。
事例2には、含有量等からNOW Foods社のIron36mgが摂取されたものと推測され、本品にはFerrochel™ ビスグリシン酸鉄(アミノ酸キレート鉄)が配合されています。
本品には、成分量2倍(米国の摂取基準18mg×2=36mg)であり、英語で「医師の指示がない限り、推奨量を守ってご使用ください。」と注意喚起が行われています。
一方、何れの事例も、個人輸入(健康被害の責任は購入した本人)で購入し、注意喚起等を読まずに高用量の鉄を摂取し続けられたものと予測されます。
なお、欧米と日本では、鉄の栄養摂取基準が異なり、日本が10.5mg(推奨量)であるのに対して、米国は18mgと日本の約1.7倍です。米国の鉄サプリメントを利用する場合、この違いを認識して利用する必要があります。
また、米国の鉄サプリメントは、日本では指定外添加物であるアミノ酸キレート鉄が用いられていることが多く、その危険性もしっかりと認識した上で利用する必要があります。
両事例とも、安易に海外サプリメントの個人輸入を行い、上記のような海外サプリメントの利用上の注意点を無視して利用したため、健康被害が起こっています。
日本のサプリメント(国内で製造されているサプリメント)では、一部10mg以上の鉄配合量で設計されている商品も存在しますが、多くは、鉄として10mg以下の商品です。したがって、日本製造の鉄サプリメントを推奨されている摂取量を守って利用している限り、鉄の過剰症を起こる可能性が極めて低いです。
商品中の鉄含有量について
報告書では、表示値より多い鉄含有量の分析結果が示されておりましたが、表示値の下限値保証や分析誤差の観点から増し仕込みをされている商品も多いため、商品の品質担保上、表示値より多い鉄含有量であった点については、当然のことだと考えられます。
なお、+20%であった商品でも、設定量が多い問題はあるものの、食品表示基準(許容誤差 -20%~+50%)の観点からも、含有量としては許容範囲だと考えられます。
鉄含有量の管理
弊社では、まめ鉄の鉄の含有量を米国と日本での分析結果の差を含めてモニタリングしております(右図、クリックで拡大)。最も鉄の含有量が高いロットで、6.16%という値が示されております。
まめ鉄は、フェリチン中の鉄量が季節などによって変動するため、かつ分析誤差によるロットアウトを避けるために鉄含有量が5.2mgを超えるように製造管理が行われているため、どうしても原料の鉄含有量に5.2~6.2%という幅が生じてしまいます。
一方、仮に規格値の5%をベースに1日あたり10mgの商品設計を行って鉄含有量が6.2%であった原料を用いていた場合、1日あたり12.4mgとなります。この含有量は、鉄の摂取基準の推奨量10.5mgを超えますが、食事での鉄摂取量を加味しても、健康上で問題(過剰摂取)になる量ではございません。ご安心ください。
なお、弊社では、1日あたり10mg(上限値)の含有量を超えない管理が求められる栄養機能食品に関しては、以下のような特別な管理を推奨しております。
商品の品質管理上、理想は、使用ロット毎に配合量調整を行うことが理想です。一方、製剤の安定性などの観点では、配合量調整を行うことは好ましくありません。
どの管理方法も、メリットとデメリットがございます。
是非、参考にしていただければ幸いです。