鉄摂取目安量と子供向け鉄サプリメント設計
子供は、骨の原料となるカルシウムやマグネシウムが成長期に積極的に補う必要があると広く認知されています。
一方、実は、鉄も、成長期に積極的に補うべき栄養素なのです。
子供は、骨や筋肉と同様、成長期と共に血液量も増えるため、血液の赤血球(ヘモグロビン)を作るのに鉄も多く必要になります。
食の細い子供やレバーなど鉄を多く含む食品が苦手な子供は、成長期に鉄の補給が追い付かず、鉄不足になってしまいます。鉄不足の子供は、鉄を補う必要性が高まります。
特定の子供には鉄補充が必要
子供(男の子ならびに初潮前の女の子)の鉄の必要量は1日あたり4~6mgとされており、推奨量は4.5~8.5mgとなっております。
出典:日本人の食事摂取基準(2015 年版)
サプリメントなどの商品設計を行う場合、不足量も推算して商品設計に反映する必要があります。その不足量に関しては、推奨量から栄養摂取の調査結果を引けば算出が可能です。
平成29年国民健康・栄養調査によると、1~6歳が4.4mg・7~14歳が7.0mgです。成長と共に、摂取量が増えていることがわかります。
したがって、6歳くらいの子供は、ほぼ食事で鉄が補えていますが、成長と共に補うニーズが高まってくることがわかります。また、日本体育協会スポーツ医・科学専門員会のアスリートの栄養・食事ガイドでは、運動による発汗などの鉄損失を考慮し、推奨量の1.5倍を満たすよう勧められています。
したがって、鉄不足はパフォーマンスにも影響してくるため、スポーツを行う少年少女には、3~5mg程度の鉄を補充することが好ましいと思われます。
実際、子供向けの栄養補充を目的とした商品は、鉄として3.2~6mgほど強化されている商品が多いです。
なお、最も子供の鉄ニーズとして高いのは、初潮が始まった直後の女の子です。1日あたり10mgも鉄の摂取が必要になり必然的に3mg程度不足してしまいます。食事では補いきれないため、必然的にニーズが高まるのです。推奨量が14mgであることも加味すると、7~10mg程度補うことが好ましい状態になります。
このケースは、子供向けの商品ではなく、成人女性向けの商品で補うことが好ましいでしょう。
引用文献
日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会 報告書:微量ミネラル 鉄(Fe)
平成29年国民健康・栄養調査
日本体育協会スポーツ医・科学専門員会のアスリートの栄養・食事ガイド
子供向けサプリメント商品開発
子供向けのサプリメントは、タブレット(主にチュアブル)や顆粒、グミの商品が数多く流通しています。
グミに関しては、使用できる原料が制限されており、特定のミネラル素材を強化しにくい点や最小ロットが非常の大きい点への注意が必要です。
また、鉄は、主に赤血球を作るために補われる栄養素であるため、女性向け商品同様、葉酸やビタミンB12も同時に摂取できるような商品設計が好ましいです。
まめ鉄が検討されるような市場では、子供向けのサプリメントでも、自然派の商品設計が好まれます。
合成甘味料を始めとした食品添加物を使用しない商品設計が好まれます。
なお、子供向けの栄養補給を目的とした商品は、グローバルに展開するモンスタークラスの商品と必ず競合してしまいます。その商品と如何に差別化を図るか?が商品戦略上のポイントとなります。