オクラトキシンの規格追加について

オクラトキシン(Ochratoxin)は、ワイン特有のカビ毒の1つであり、現在、EUの基準値(EU Regulation No.2023/915)を参考にして、日本でも基準値設定が準備されております。


出展:厚生労働省:食品中のオクラトキシンAの規格基準の設定について 食品規格部会令和5年12月11日 資料1 (3)EUの OTA基準値(EU Regulation No.2023/915)(和訳)

そして、弊社は、本原料でも自主規格を設けるべきだと判断し、日本でも基準値設定が検討され始めた2012年より、製造者と共に規格値を検討しておりました。

また、近年の紅麹問題も加味されて、公益財団法人 日本健康・栄養食品協会の健康食品製造におけるHACCP導入手引書や健康食品GMPでは、微生物利用や発酵工程を含む原材料の安全性管理が強化されており、その規格化が急務となっておりました。

弊社原料である赤ワインエキスR5は、赤ワインの分離抽出物(濃縮物)であり、EUの基準の中にも、合致する項目が存在しません。

本原料の原産国ならびに粗原料原産国はフランスであり、2004年以降、粗原料の赤ワイン自身はEU基準で管理されています。また、本原料は、分離抽出という製法の特性上、オクラトキシンは濃縮されにくい特性がございます。
かつ、2012年以降、粗原料の暫定的な自主規格(20ppb以下)も設けつつ、モニタリング調査を実施してきました。

一方、本原料の規格値について、濃縮されにくいとはいえ、粗原料換算量・加工係数(1000:1)や摂取量(1g以下)を加味すると、ワインのEU基準である2ppb以下を用いるのは適当ではございません。実際、ブドウジュースの濃縮還元物は、基準がなく、希釈後のジュースに対して2ppb以下の基準が設けられています。そこで、唯一の抽出物の規格であるカンゾウの抽出物(80ppb)などの基準値を参考にし、2012年以降の自主基準と同じく、本原料のオクラトキシンの自主規格は20ppb以下に設定いたしました。

なお、厚生労働省でも、近い将来、EUの基準を参考にしながらオクラトキシンの基準値が設けらます。しかし、EUの基準と同様、本原料と完全に一致する項目は、儲けられないものと考えられます。そのため、本原料のような中間加工食品は、自主基準として管理が求められるものと予測しております。