非変性Ⅱ型コラーゲンの表示について
2023年4月4日、福井県立大学の水田教授によって、鮭鼻軟骨由来コラーゲンに関するFisheries Scienceへ投稿中の論文が受理されました。
実は、2022年から、口頭では発表されていたのですが、鮭鼻軟骨由来のコラーゲンはⅡ型だけではないことが明らかになっておりました。
であることが分かっており、水田先生の論文でも報告されています。
論文概要:
通常の魚類や軟骨魚類には、Ⅺ型コラーゲンがこれほどまでに含まれておらず、そのため、Ⅺ型コラーゲンはマイナーコラーゲンや希少コラーゲンと呼ばれていました。この論文において、Ⅺ型コラーゲン量の多さは、サケ鼻軟骨特有であることが紹介されています。
また、Ⅺ型コラーゲンの電気泳動バンドがⅡ型コラーゲンのバンドに隠れ、Ⅺ型コラーゲンを見つけにくかったという経緯も紹介されています。
この報告により、
この変更に対する対応についても、すでに消費者庁に相談しております。
そして、「(学説変更など避けれない理由のため)猶予を設けたりしないが、なるべく早く修正対応していくように※ただし、機能性表示食品は除く;即変更を求める。」と指導を受けております。
したがって、現時点において、弊社では、鮭鼻軟骨由来非変性Ⅱ型コラーゲンを機能性関与成分として機能性表示食品のSRを提供しておりませんので、緊急の修正対応は必要ございません。徐々に修正対応いただけますと幸いです。
なお、現時点で、既存原料:SCPコンプレックスーLSの規格を変更すると、市場への影響が大きく、トラブルも起こりえます。
そのため、リナイス社と弊社では、対応策を示しつつ、2024年4月に規格を変更することにいたしました。
※リナイス社の原料に限らず、他社の鮭鼻軟骨コラーゲン原料でも同様な変更が必要になります。
なお、それぞれの含有量を表記したいという要望も想定されます。一方、約8:2の比率も、天産物由来であるため、どうしても微妙な変動がございます。現時点において、それぞれのコラーゲンを個別に規格した場合、非変性Ⅱ型コラーゲンは30%以上、非変性Ⅺ型コラーゲンは6%以上となってしまい、総量が36%と目減りした見え方になってしまいます。
したがって、現時点では、それぞれを規格する予定はございません。ただし、要望があれば、試験成績書上にそれぞれの含有量を参考値として記載することを検討しております。
変更に伴う説明内容例
既存のお客様より、今後の変更について、どのように説明すればよいか?という問い合わせもいただいております。
下記の内容を参考に、ご説明いただけますと幸いです。
なお、お客様の説明において、上記の内容を全て利用される必要はございません。お客様の方で、必要な部分だけを利用していただければと考えております。
非変性Ⅱ型&Ⅺ型コラーゲンでの機能性表示食品について
弊社では、水田教授の論文が受理されるまで、プロテオグリカンと同時に実施していた非変性Ⅱ型&Ⅺ型コラーゲンのヒト臨床試験論文も止めておりました。3ヶ月以内の受理・公開を予定しております。
この論文が受理され次第、非変性Ⅱ型&Ⅺ型コラーゲンを機能性関与成分とした機能性表示食品にもトライ予定です。
定量分析用試薬について
非変性コラーゲンを謳う場合、ポリアクリルアミド電気泳動法での分析が必要になります。その際、分析用の試薬が必要になります。
そして、その試薬は、特許第7138873号を用いて製造された非変性Ⅱ型コラーゲンとⅪ型コラーゲンの定量分析用試薬は、コスモ・バイオ株式会社から販売されております。
ただし、現時点では、リナイス社の供給承諾書がなければ、購入できません。原則、本原料顧客限定の供給であり、供給承諾書の発行には、お客様もリナイス社への誓約書提出が必須条件となります。
ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
なお、SCPコンプレックス-LSは、アミノ酸自動分析法でも定量分析が実施されております。本分析においては、ヒドロキシプロリン含有量からの換算係数を用いてコラーゲン含有量を算出するのですが、どの換算係数を用いるかが重要になってきます。そして、リナイス社では、鮭鼻軟骨のアミノ酸分析結果から12.87という換算係数が導かれております。また、一般財団法人 日本皮革研究所は、文献などの報告を基に、12.63という換算係数を推奨しております。リナイス社では、やや少なめに計算される12.63の換算係数を用いてコラーゲンの定量分析を実施しております。
また、リナイス社の原料は、アミノ酸自動分析法とポリアクリルアミド電気泳動法の分析値が一致し、コラーゲン全てが非変性であることが確認されております。
SCPコンプレックス-LSの規格変更
また、2023年3月1日、プロテオグリカンの分子量に関して、以下のようなSCPコンプレックス-LS規格変更のご案内も出させていただいております。
分子量規格が非変性プロテオグリカンとより謳いやすいものとなっております。
非変性プロテオグリカンを差別化ポイントして、ご活用いただけますと幸いです。
通常のプロテオグリカンの分子量は40万Daもしくは90~140万Daですが、非変性プロテオグリカンの分子量は、多角度光散乱検出器による測定により、軟骨解凍時に得られるドリップと同じ200~415万Daであることがわかっており、平成30年度日本水産学会春季大会でもで口頭発表されています(現在、論文投稿準備中)。
なお、今後、プロテオグリカンを機能性表示食品向けSRも提供開始予定です。現在、試作や加速試験、分析などは、先行して進めていただいております。