サケ鼻軟骨由来II型&XI型コラーゲン 文献5
Efficacy of Undenatured Collagens (Type II and XI) Derived from Salmon Nasal Cartilage on Knee Discomfort in Healthy Volunteers —A randomized, double—blind, placebo—controlled intergroup trial—
Yuji Kuriyama, Yasushi Yoshida
Department of General Medicine, Juntendo University School of Medicine要旨(和訳)
背景 非変性コラーゲンは、近年、注目度が高まっている機能性素材であり、膝関節炎への有効性が示されている。そして、その有効性の機能は、免疫寛容を介した抗炎症作用によってもたらされるとされている。市場において、鶏軟骨由来の非変性Ⅱ型コラーゲンと鮭軟骨由来の非変性コラーゲンの原料が広く流通する。
方法 本試験では、鮭鼻軟骨由来非変性コラーゲン(II型:XI型=8:2)を健常人に16週間摂取させ、膝関節の違和感の改善を評価した。被験食品群は、コラーゲン源として鮭鼻軟骨抽出物を配合した錠剤1粒から1日1回非変性コラーゲンを10mg摂取した。試験では、5項目(日常時・歩行時・階段の上り下り時・立ち座り時・長時間の起立時の膝関節の痛み)のVisual Analogue Scale(視覚アナログ尺度、VAS)アンケートを主要評価項目とし、副次評価項目として、繰り返し10回負荷のアンケートならびに3種のバイオマーカー(血清CPII、尿中CTX-II、血清C1,2C)を用いて評価した。なお、被験者選定は、境界域の被験者が含まれないよう厳密に行った。
結果 試験の結果、歩行時のVASアンケートにおける摂取16週間前後の変化量(P=0.039)において、群間比較で有意差が示された。また、50歳以上の条件(開始時に痛み・強い違和感なしの被験者を除外)による階層解析において、摂取16週間前後の変化量における階段の上り下り時のVASスコア(P=0.013)ならびに摂取16週間後のスクワット可能数の繰り返し10回負荷アンケート(P=0.040)でも、群間で有意差が示されて有効性が示された。さらに、II 型コラーゲンの分解バイオマーカーと合成バイオマーカーの比率であるCTX-II/CPII比(P=0.037)において摂取16週間後に群間で有意差が示された。複数の項目で有意差が示され、被験食品の膝関節への有効性が示された。
結論 本試験より、健常人が鮭鼻軟骨由来の非変性コラーゲンを摂取することで歩行時の膝関節の違和感ならびに50歳以上の被験者における階段の上り下り時の膝関節の違和感、スクワットのような膝の曲げ伸ばし対する違和感を改善・予防することが示された。また、バイオマーカーを用いた評価でも、CTX-II/CPII比で有意差を示し、本被験食品の有効性が裏付けられた。そして、本被験食品の有効性は、関節軟骨の合成と分解のバランスが正常化され、関節軟骨が保護されることでもたらされていることが示唆された。
(UMIN ID: UMIN000041641)
※英文翻訳前の和文要旨
Japanese Pharmacology & Therapeutics. 2023;51(6): 909-920.