グルタチオンサプリメント製造の注意点

グルタチオンは、L-グルタミン酸・L-システイン・グリシンからなるトリペプチドであり、医薬品と健康食品サプリメントの両方で使用されている素材です。
長年、肝臓での解毒や美白・アンチエイジング目的で、利用されてきた素材です。

現在、医薬品のグルタチオンは、日本の原料供給会社からの原料供給が滞っており、かなり品薄状態が続いており、新規の供給や適応症外での使用が想定される販路への供給が制限されております。
そのため、クリニックルートからのグルタチオンサプリメントの供給依頼も多く届いております。

一方、健康食品サプリメント用のグルタチオンと医薬品用のグルタチオンでは、製法が異なります。したがって、医薬品と同グレード・同コストのグルタチオンサプリメントの供給は、非常に困難です。

まず、医薬品用のグルタチオンは、合成法で製造されており、この合成法で製造されたグルタチオンは、健康食品サプリメントに用いることができません。
健康食品サプリメント用のグルタチオンは、酵母による発酵生産で製造された原料に限定されています。
タウリンも、同様な位置付けであり、健康食品サプリメントに用いる場合、魚介類や動物由来のタウリンである必要があります。

そして、医薬品用(合成)と健康食品サプリメント用のグルタチオンは、原料コストに大きな開き(10倍以上)があり、同コストでの供給ができないのが実際です。
また、医薬品用のグルタチオン原料は、高純度の原料であり、健康食品サプリメント用のグルタチオン原料は、15~20%程度と、グルタチオン含有量が低いです。
そのため、医薬品のグルタチオン錠は、1粒に100mgのグルタチオンが含まれますが、健康食品サプリメントでは、このような高用量な製剤を作ることができません。

無理にグルタチオンを国内で作っても、医薬品に限らず、合成グルタチオンの使用ができる海外サプリ(iHerbなど)にも勝てないため、ビジネス展開が上手くいかないことが予測されます。

加えて、健康食品サプリメントでグルタチオンの含有量を表示する場合、グルタチオン単体での表示が認められていません。
出典:事務連絡 平成28年9月16日 各都道府県衛生主管部宛
したがって、グルタチオン含有量を謳う単味の商品を作ることはできず、何らかの素材と共に配合する必要がございます。

なお、iHerbなどで売られているグルタチオンやタウリンのサプリメントは、北米基準で作られており、日本で同様なサプリメントを作ることは困難です。

代替商品案

グルタチオンにこだわらなければ、以下のようなメディカル色の強い素材を用いての代替商品での製造が可能です。

・ビスベンチアミン(ビタミンB1誘導体)
・リボフラビンリン酸エステル/リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2誘導体)
・酢酸トコフェロール(ビタミンE誘導体)
リポソームビタミンC
ジオスゲニン包接体(DHEA前駆体)
フェリチン鉄
NMN(βニコチンアミド・モノヌクレオチβ)

・5-デアザフラビン
・5-ALA(5-アミノレブリン酸)
・ヒドロキシチロソール(グルタチオン産生アップ)


ビタミン誘導体の商品は、クリニックルートだと、美容目的でのビタミン処方が制限されやすくなりつつあるので、オススメです。

鉄は、フリーラジカル産生の観点から、不足しやすい不可欠なミネラルにも関わらず、アンチエイジング業界において避けられてきました。一方、貯蔵鉄としても知られるフェリチン鉄は、タンパク質に包まれた生体鉄であり、ラジカルが発生しないようエンドサイトーシスで吸収される鉄素材です。
抗疲労や美容/アンチエイジングのサプリに利用しやすい鉄素材です。

また、ジオスゲニンは、近年、食薬区分リストに掲載され、性ホルモンの前駆体としてだけではなく、認知機能の改善など、様々な効果が期待されている注目素材です。

表示上の注意点

グルタチオンは、専ら医薬品成分リストにも収載される成分のため、その含有量表示に制約がございます。表示方法等は、下記ページをご参照くださいませ。

食品で利用可能な専ら医薬品成分の表示

含有量を謳うグルタチオン単味の商品が作れない理由も紹介されております。
是非、ご一読ください。

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受託製造フローFAQ(よくある質問)

商品設計上の注意点

現在、クリニック系のルートでは、ニコチンアミド・モノヌクレオチドやレスベラトロール(赤ワイン由来)、コエンザイム10との配合ニーズが高く、様々な複合処方商品が検討されています。また、2021年に食薬区分に入ったジオスゲニンなども、人気急上昇中の組み合わせです。

一方、ニコチンアミド・モノヌクレオチドは、反応性が強く、安定性を保証できないのが実際です。また、コエンザイムQ10 も反応してしまう可能性があり、グルタチオン原料と組み合わせるのであれば、包接加工された原料を採用することが好ましいです。

また、健康食品サプリメント用のグルタチオン原料は、独特な臭いを有する原料が多く、錠剤であれば糖衣加工、ハードカプセルであればガスバリア性の高いカプセルへの充填が好ましいです。


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記事筆者

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO
SloIron Inc. 取締役(Stockholder)、順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。…もっと詳しく